サーバーレスと従来型サーバーの比較。
導入の向き不向きについて解説

2023年08月02日
サーバーをクラウド事業者が提供する「サーバーレス」が注目されています。サーバーレスはサービス提供に関する初期のコストや工数を抑えられ、サーバーへの負荷増大に対する自動調整機能があるなど多くのメリットがありますが、導入に向いているケースと向いていないケースがあります。そこで本記事では、サーバーレスと従来型サーバーを比較したうえで、どのようなケースにサーバーレスが適しているのか解説します。

サーバーレスとは

サーバーレスはクラウドサービスの一種であり、クラウド事業者が運用・提供するサーバー環境を利用してアプリケーションやサービスを運用する仕組みのことです。「サーバーレス」という名称ではあるものの、サーバー自体は存在しており、事業者がサーバーを用意するため自社での準備や管理が不要という意味です。これにより、自社のシステム開発者はプログラムの記述に専念できるようになり、サービスを提供する際の業務工数を削減できます。

 

サーバーレスの仕組みやメリット・デメリットなどの詳細については以下の記事をご覧ください。

 

 

サーバーレスについてご紹介しましたが、従来型のサーバーとは何が異なるのでしょうか。
次章で具体的に解説します。

従来型サーバーとサーバーレスとの比較

従来型のサーバーとサーバーレスを比較すると、次のような違いがあります。

初期の導入コストと手順の比較

従来型のサーバーでサービスを提供しようとすると、まずはサーバーを調達しなければならず、その初期費用がかかります。クラウドではなくオンプレミスで構築する場合にはさらに、サーバーを設置するための物理的なスペースの確保やOSのインストールも必要です。
また、従来型のサーバーではプログラムの開発や動作のための環境設定としてミドルウェアなどをインストールする必要があり、その後サーバーに実装したアプリケーションをデプロイし、セキュリティ対応も行います。
一方、サーバーレスであればアプリケーションのデプロイだけ行えば良いため、初期の導入コストや手間を削減できます。

運用コストの比較

物理サーバーを運用する場合は電気代がかかり、クラウドサーバーの場合は常時稼働しているため、その稼働に対して利用料が発生します。
一方、サーバーレスはトリガーイベント発生時のみ稼働し、その稼働時間やプログラムの実行回数などに応じて料金がかかる従量課金制をとることが一般的です。利用した分だけ費用が発生する仕組みであるため、無駄なコストが発生しにくくなり、運用コストの抑制を期待できます。

リソースの最適化に関する比較

従来型のサーバーでは、サーバーへの負荷が過大になった場合、CPUなどのサーバーのスペックを拡張するか、新たにサーバーを追加する必要があります。アクセス数が急増するなど、予想よりも大きな負荷がかかるとサーバーダウンするリスクがありますが、サーバーレスにはオートスケールと呼ばれるサーバーの数を自動調整する機能があるため、イレギュラーな負荷の増大に対しても必要なサーバー数を確保できます。これにより運用や管理の手間を削減できる点もメリットです。

 

従来サーバーとサーバーレスを比較し、それぞれの特徴について説明しましたが、実際にサーバーレスが向いているケースについてご紹介します。

サーバーレスが向いているケース

ご紹介したように、サーバーレスには従来型のサーバーと比較してさまざまなメリットがありますが、サーバーレスには向いているケースと向いていないケースがあります。
向いているケースとしては、新規サービスの立ち上げが挙げられます。サーバーレスは導入に関する初期費用を抑えられ、さらに予期せぬ負荷の増大に対してもオートスケーリング機能により対応しやすいためです。
また、処理に必要なデータ容量が少ない単純なデータの加工処理にも向いています

 

これらを含め、向いているケースを列挙すると以下の通りです。
・新規サービス
・マイクロサービス
・単純なデータ加工処理
・流入データの連続処理
・テキスト処理
・画像処理のプログラム
・アプリケーションフローの処理 など

 

次章では上記と異なり、サーバーレスに向いていないケースについてご紹介します。

サーバーレスが向いていないケース

サーバーレスは常時稼働しているわけではなく、処理に利用できるメモリに制限があることが多いため、絶えずシステムを稼働させる必要があるサービスや、大容量のメモリが必要な機能にはあまり適していません
また、サーバーを経由するためユーザーのアクションから応答までの処理速度に若干のタイムラグが生じます。そのため、低レイテンシを求められる機能に関しても不向きです。

サーバーレスが向いているのか判断できない場合はSproutlyにご相談を

今回はサーバーレスに向いているケースや向いていないケースなどを中心に解説しましたが、サーバーレスの導入が自社に適しているかわからないご担当者の方も多いのではないでしょうか。
Sproutlyでは、インフラ構築からアプリケーション開発まで全レイヤを自社エンジニアが対応することでワンストップでのシステム構築を実現しています。クラウド移行後の最適化に向けて、サーバーレス環境の計画から導入、運用までのクラウドネイティブな仕組みの導入もサポートしており、サーバーレスの向き・不向きに関しても検討したうえで、最適なクラウドを選択可能です。

 

Sproutlyのサービス詳細については下記よりお問い合わせください。

 

このコラムを書いたライター

SREベース運営局
SREベース運営局
SREベースは、Sproutlyが提供するSREサービス、SIサービスに関するトレンド・業界動向からノウハウまでアプリケーションの構築・運用に役立つ様々な情報をお届けします。