サーバーレスとクラウドの違いとは?
サーバーレスの仕組みやメリット・デメリットを解説
本記事では、サーバーレスとクラウドサーバーの違いや、サーバーレスのメリット・デメリットなどを解説します。
サーバーレスとは
サーバーレスとは、クラウド事業者が運用・提供するサーバー環境を利用してアプリケーションやサービスを運用する仕組みのことです。
クラウドサービスの一種であり、サーバーの構築・運用やメンテナンスなどを事業者側が行ってくれるため、自社でサーバー管理する必要がないことが特徴です。その名称から、サーバーが不要であると誤解されやすい仕組みですが、サーバーそのものは事業者が提供する形で存在します。
サーバーレスが注目されている背景
従来のようにサーバーを自社で用意する場合、サーバー構築の自由度は高いものの、サーバーの調達から運用、保守まで自社で行わなければなりません。また、365日稼働させる必要があるため、多くのコストや手間がかかる点もネックです。
こうした中、AmazonのAWSやGoogleのGCP、MicrosoftのAzureはじめとするクラウドサービスが近年普及したこともあり、クラウドサービスを活用してコストを削減できるサーバーレスが注目されるようになりました。
サーバーレスの仕組み
サーバーは通常24時間稼働する仕組みをとっていますが、サーバーレスは何らかのきっかけで動作する「トリガーイベント」が生じたときのみ稼働する仕組みです。稼働していない期間にはコストがかからないため、一般的には従量課金制が採用されています。
また、ITインフラはこれまで、物理マシン、仮想マシン、コンテナ、サーバーレスという順で発展してきており、サーバーレスはITインフラの進化の最先端と言えます。これは、ITインフラの抽象度が高くなってきたということを意味しています。なお、コンテナとはアプリケーションの動作に必要なコードなどを1つにまとめたものです。
サーバーレスの種類
サーバーレスは一般に、「FaaS」という形式で提供されています。
「FaaS」はFunction as a Serviceの略であり、日本語では「サービスとしての機能」という意味です。ソフトウェアやアプリケーションの実行環境そのものを事業者が提供することで、サーバーレスでの開発が可能となっています。
なお、サーバーレス以外のクラウドサービスにはほかにも「IaaS」(Infrastructure as a Service)、「PaaS」(Platform as a Service)、「SaaS」(Software as a Service)などの形式があります。IaaSはサーバーやネットワークなどのインフラを、PaaS はOSやミドルウェアなどのプラットフォーム基盤を提供する形式であり、SaaSはWEB会議システムやオンラインストレージなどのソフトウェアを利用する形式です。
サーバーレスでは、アプリケーションプログラムの実行環境がすべて用意されていますが、クラウドサーバーでは一定程度、自ら設定する仕組みとなっています。
なお、サーバーレスとクラウドの違いがわかりやすい例として、クラウドサービスの代表格GCP(Google Cloud Platform)には、サーバーレスで動く「Cloud Functions」と、クラウドサーバー「GCE(Google Compute Engine)」があります。
GCP(Google Cloud Platform)の詳細は以下で解説しています。こちらもあわせてご覧ください。
5つの特長やAWS・Azureとの違いなどを解説!
サーバーレスとクラウドサーバーの違い
先述の通り、サーバーレスはFaaS形式、クラウドサーバーはIaaSやPaaS形式にてサービスを提供する点が違いとして挙げられます。
方とも自社で物理的なクラウドを用意しない点は共通していますが、サーバーレスはプログラムの開発環境や動作環境の提供を受けるのに対し、クラウドサーバーはサーバーそのものが提供されます。
また、サーバーレスはアプリケーションプログラムをすぐに実行可能であるのに対して、クラウドサーバーはある程度自社で実行環境を構築する必要があり、ミドルウェアのインストールなども必要です。
サーバーレスのメリット
サーバーレスの主なメリットとして、以下3つが挙げられます。
構築、保守、管理などの手間がかからない
自社でサーバーを構築する場合、サーバー自体の構築や運用など、キャパシティ不足の場合にはリソースを追加し、さらに修正パッチの適用や不具合発生時の対応も行わなければなりません。
一方、サーバーレスは事業者が環境構築から保守運用まで行ってくれるため、こうした手間がかからないメリットがあります。
コスト抑制が期待できる
先述の通り、サーバーレスは24時間の稼働ではなく、稼働した時間やプログラムの実行回数などに応じて料金がかかる従量課金制をとっています。使った分しか料金がかからないため、余計なコストが発生せず、利用コストの抑制を期待できます。
アクセス数に応じてサーバーの数を自動調整
サーバーレスでは、サーバーの数を自動で調整するオートスケール機能があり、サーバーへの負荷を監視しています。
これにより状況に応じて必要なサーバー数を確保し、予期せぬアクセス集中の発生といった負荷の大きい状態になっても対応可能です。
サーバーレス のデメリット
一方で、サーバーレスには以下のような3つのデメリットがあります。
ベンダーの移行が難しい
サーバーレスでは、自社でのサーバーの導入や管理・運用を行う必要がなくなるため、管理者の負担は大幅に軽減されます。
しかし、サーバーレスアーキテクチャにすることによりプログラミングで実装するため、専門知識のないインフラ担当者のスキルでは対応が難しい場合が多く、クラウド事業者(ベンダー)にサーバーの管理を任せることになります。
そのため、ベンダーへの依存度が高まる「ベンダーロックイン」状態になり、移行が難しくなってしまう点がデメリットとなるので、ベンダーの選定は慎重に行うことが重要です。
既存のプログラミング言語が使えない場合がある
インフラ担当者の間では主にシェルスクリプトが利用されていますが、python やjavaのスキルが必要になってくるため対応が難しくなり 、既存の言語でアプリケーションが実行できないケースがあります。
追加作業により既存の言語に対応できる場合もありますが、その際には工数や時間がかかってしまうため、追加すべきかを検討します。
処理内容に制約がかかる場合がある
処理できるデータ容量や処理時間に制約がかかる場合もあります。どのような制限があるのか把握しないまま開発すると、実装後、処理方法を変えなくてはならないため、実行を想定している処理に対応可能か事前の確認は必須です。
サーバーレスの向き不向き
サーバーレスはシステムの連携に強みがあるため、独立した小規模のサービスを組み合わせてアプリケーションを構築するマイクロサービスでの開発に適しています。
また、サーバーの導入費用を抑えることができ、オートスケーリングにより予期せぬスペックの変動に対応できるため、新規サービスの開発も得意としています。
このほか、テキスト処理や画像処理プログラムなど、処理に必要なデータ容量が少ないシンプルなデータの加工処理も可能です。
一方で、サーバーレスはメモリの処理能力に制約があるため、イベントへの応答時間の速さが求められる低レイテンシのアプリケーションや複雑なプログラム、長時間にわたり高負荷がかかるシステムなどには向きません。
以降では、サーバーレスをサポートするサービスについてご紹介します。
サーバーレス化についてはSproutlyへご相談を
Sproutlyでは、クラウドアプリ開発とインフラ構築をトータルでサポートしており、インフラからアプリケーションまで全レイヤを自社エンジニアが対応することでワンストップでのシステム構築を実現しています。
3大クラウドであるAWS、GCP(Google Cloud Platform)、Azureに対応しており、最適なクラウドを選択可能です。また、クラウド移行後の最適化に向けて、サーバーレス環境の計画から導入、運用までのクラウドネイティブな仕組みの導入もサポートしています。
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