【3大クラウド比較】AWS・Azure・Google Cloud(GCP)の違い
特徴や料金、シェア率、選定のコツを解説

2023年11月24日
近年、クラウドサービスは「資産、保守体制を持つ必要がない」、「どこでもサービスを利用できる」などの理由から活用する企業が増加しています。
クラウドサービスの中でも「3大クラウド」と呼ばれるAmazon Web Services(AWS)・ Google Cloud(GCP)・Microsoft Azure(Azure)は世界で特に高いシェア率を誇り、それぞれ違った特徴や強みがあり、導入すべき適切なサービスも企業によって変わります。
本記事では、世界3大クラウドの概要や特徴、自社にあったクラウドサービスを選定する際のポイントなどをご紹介します。

クラウドサービスとは

クラウドサービスとは、従来は利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、インターネット経由で利用できるサービス形態です。

 

クラウドサービスを利用することで、サーバー管理の問題やユーザー増加にともなうアクセス負荷、サーバーメンテナンスなどにともなう機会損失やトラブルへの対応、工数削減などの問題解決につながります。

 

以下では、クラウドの基礎知識やオンプレミスとの違いなどを解説しています。

 

 

近年、ベンダーがソフトウェアやハードウェアの大規模な設置からアップデート、保守管理まで一貫して行い、その機能をネットワーク経由で利用できるクラウドサービスが普及しています。また、複数のクラウドサービスを利用するマルチクラウドを取り入れる企業も増加中です。 実際に、総務省の調査によるとクラウドサービスを利用している企業は2017年以降毎年増加しており、2021年には、「全社的に利用している」、「一部の事業所又は部門で利用している」を合わせると70.4%が利用しています。

 

出典:総務省「通信利用動向調査」

 

以降では、クラウドサービスの中でも世界的にシェア率の高い「3大クラウド」について解説します。

3大クラウドサービスとは

3大クラウドサービスとは、クラウドサービスの中でもシェア率の高い以下の3つのサービスのことを指します。

・Amazon Web Services(AWS)
・Microsoft Azure(Azure)
・Google Cloud(GCP)

以降ではそれぞれのクラウドサービスの特徴について解説します。

Amazon Web Services(AWS)の特徴

Amazon Web Services(AWS)は、インターネット通販や動画配信サービスなどでおなじみのAmazonが提供するクラウドサービスです。2006年にサービスが開始され、クラウドサービスの中でも最も長い歴史があり、シェアもトップを誇っています。

 

特徴としては、どのクラウドサービスよりもサービスの種類が豊富である点が挙げられます。その種類は、2022年時点で220種類以上です。
Amazonは、「想定できるあらゆるものを構築できる」と謳っており、IaaSやPaaS、SaaSをバランスよくカバーしていることもあって、万能型のクラウドサービスと言えます。また、先述の通り2006年からの実績があるため、AWSを扱える技術者の数も多く、日本語での情報やナレッジも比較的集めやすい点も特徴です。

 

セキュリティに関しては、国際的なセキュリティ基準の規格を数多く取得し、アメリカ国防総省の基準にも準拠しています。各国の規制やコンプライアンスにも対応し、情報漏洩や不正行為を未然に防ぐ対策がされているため安心して利用できるでしょう。実際に、軍隊や世界展開している銀行など、高い機密性が求められる組織でも利用されています。

 

利用対象は、中小企業~大企業ですが、個人でも利用可能です。IT初心者で使いやすいサービスを求めている方や、自社業務の用途によってカスタマイズしたい方にもおすすめです。料金は初期費用0で、従量課金制となっています。

 

その他、Amazon Web Services(AWS)の詳細は、以下記事で解説しています。あわせてご覧ください。

Microsoft Azure(Azure)の特徴

Microsoft Azureは、2010年にMicrosoftから提供が開始されたクラウドサービスです。

 

特徴としては、Office をはじめとする Microsoft 系サービスとの親和性が高く、社員管理にも広く用いられているActive Directory(AD)との連携性が高いことが挙げられます。また、オンプレミス環境でWindows Serverベースのサーバーを利用していた企業にとっては移行がしやすく、大企業や官公庁などで使用されているケースが多い点も特徴です。

 

セキュリティに関しては、多くの国際規格やガイドラインに準拠しており、人工知能(AI)と機械学習を組み合わせた脅威の検出機能を持つなど、定評があります。

 

法人だけでなく、個人でも利用可能です。現在オンプレミスにて、Windows serverを利用しており、クラウドに移行した後もWindowsの利用やMicrosoftサービスとの連携を検討している方にもおすすめのクラウドサービスとなっています。料金は従量課金制となっており、リソースの利用時間や利用量に比例して価格が変化します。

 

その他、Microsoft Azure(Azure)の詳細は以下記事で解説しています。あわせてご覧ください。

Google Cloud(GCP)の特徴

Google Cloud Platform(GCP)は、2008年にGoogleから提供が開始されたクラウドサービスです。

 

特徴としては、Googleの社内で使用されている、安定した強固なインフラ環境・技術を利用できることが挙げられます。また、ビッグデータを解析するプラットフォーム機能やWebアプリケーションの作成・実行・管理などができる機能に加え、機械学習モデルを簡単に構築できる機能なども特徴の1つです。3大クラウドの中でも、グローバル展開に特に強いサービスだといえます。

 

セキュリティに関しては、物理的なセキュリティ対策やデータの暗号化、不正アクセス防止、インシデント対策などを行っています。また、専用の内部監査チームがあり、社内での監査だけでなく、第三者機関を通じての評価・監査を行っているため、安心感があります。

 

こちらも法人だけでなく、個人でも利用可能です。ビッグデータ解析や機械学習などAI活用を行いたい方におすすめのクラウドサービスとなっています。料金は従量課金制です。

 

その他、GCP(Google Cloud Platform)の詳細は以下記事で解説しています。こちらもあわせてご覧ください。

世界3大クラウドを比較

このような特徴のある世界3大クラウドをサービス・セキュリティ・料金・利用者の4つの視点で比較すると以下のような表になります。

 

 

特徴と違いが分かっても、自社に適したクラウドはどれか判断することが難しいと思う方も多いのではないでしょうか。そこで次章では世界3大クラウドの選定ポイントについてご紹介します。

3大クラウドのコンピューティングサービス比較

開発リソースのコアであるコンピューティングサービスを3大クラウドで比較すると、以下のような表になります。

 

 

仮想マシン

クラウドを利用する上で最も基本的なサービスであり、3社で提供される機能に大きな違いはありません。料金体系や、選択できる OS の種類、GPU への対応、ネットワーク帯域、割引の有無などが異なります。

ベアメタルサーバー

1つのテナントのみをホストする物理サーバーのことを指します。Google Cloud ではコロサーバスペースに物理サーバーを配置する形になっており、Azure は SAP HANA 用途でのみ利用可能です。

コンテナ基盤

各社ともKubernetes を利用して提供しています。Kubernetes はGoogle がコンテナの運用管理ツールとして開発しいますが、AWS の Fargate、Azure の Container Instance、および Google Cloud(GCP) の Cloud Run はサーバーレスで運用するコンテナ基盤であるため、迅速な開発が可能です。

アプリケーション基盤(PaaS)

Web アプリケーションやサービスをデプロイ・スケーリングするための機能です。3社とも、フルマネージドのサービスを提供しています。

サーバーレスサービス(FaaS)

イベントをきっかけとしてコードを実行するシステムを構築するアプリ実行基盤サービスです。サーバーレスアーキテクチャの根幹をなすサービスでありFaaSとして有名です。3社で連携可能なサービスの種類や実行時間が異なるため、確認してから利用することをお勧めします。

 

特徴やコンピューティングサービスの違いが分かっても、自社に適したクラウドはどれか判断することが難しいと思う方も多いのではないでしょうか。そこで次章では世界3大クラウドの選定ポイントについてご紹介します。

世界3大クラウドの選定のコツ

自社にあったクラウドサービス選定のコツとしては、各サービスの特徴を踏まえたうえで、自社の目的に適しているのか、セキュリティ対策が十分であるかといった点を確認することが重要です。

 

コスト比較も重要となりますが、クラウドサービスは基本使った分が課金される従量制課金となるため、単純な比較は難しいといえます。そのため、今後の運用を想定した費用対効果の検証が求められるでしょう。

 

また、クラウドサービスは変化が激しいため、最新動向のキャッチアップは難しく、複数のシステムがある場合、それぞれのシステムに適したクラウドサービスが異なって、1つに決められないことも考えられます。

 

このような点を踏まえて、クラウドサービスを併用するマルチクラウドを取り入れる企業も増えています。

 

しかし、複数のクラウドサービスの併用は業務環境の分散や情報のサイロ化が起き、その運用が複雑化していきます。このような運用体制は、管理工数の増加や、ビジネス成長の鈍化、サイバー攻撃のリスクなど、さまざまな影響が出る恐れがあります。

 

このように、クラウドサービスの選定にはポイントや注意しなければいけないことがあるため、自社内だけで検討せず、クラウドについて理解しているパートナーが必要です。

自社に適したクラウド選定をするならSproutlyにご相談ください

自社に適したクラウド環境を構築するためには、パートナー企業を活用し、理想を叶えるためのサービスの比較・選択から相談していくのが効果的です。そのようなクラウド選定・環境構築の支援を行っているのが、「Sproutly」です。

 

Sproutlyでは、クラウド環境を構築した経験がない企業を対象とした、クラウド環境最適化のサポートを行っており、世界3大クラウドをはじめとしたクラウドサービスの選定、選定後の運用・管理を実現します。 2020年11月6日、Google Cloud Platformの日本市場への展開に関するサービスパートナー契約を締結しており、Google のサービスパートナーとして、顧客企業に対し、GCP活用に向けたコンサルティング・導入・運用サービスの提供を開始しています。

 

サービスについては、以下にて無料公開しておりますので、ぜひご覧ください。

このコラムを書いたライター

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