ビジネスにおけるデータ活用とは?
種類や事例、手順などを解説
ビジネスにおけるデータ活用とは
ビジネスにおけるデータ活用とは、企業に蓄積されている大量のデータを収集・蓄積・加工・分析することで経営の意思決定や業務改善に役立てることです。近年、データ分析基盤の構築が推進されており、企業が保有する多種多様なデータの収集~分析が可能です。そのデータを活用することで新しいビジネスの立ち上げや、企業の競争力を高めるために必要不可欠な要素といえます。
基礎知識から構築する際の流れ、ポイントを解説
データ活用の動向
データ活用の取り組みを進める企業は多く、総務省の調査によれば、大企業で約9割、中小企業でも半数以上(55.6%)の企業が何らかの分野においてデータ活用を行っています。
出典:総務省「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」
以下では、各分野における具体的なデータ活用方法をご紹介します。
・業務改善
業務改善におけるデータ活用は、企業が保有するデータを分析して、業務プロセスの問題点を特定し、問題点に対する改善策を実行することで業務の効率化やコスト削減や品質向上、生産性アップが実現され、競争力を高めることができます。
・組織改革
データに基づいた組織改革は、客観的な判断で行われるため、主観的な判断や意見の対立による混乱を防ぐことができます。
また、改革の成果が明確することができるため、従業員のモチベーションの向上にもつながります。
・マーケティング
マーケティングにおいては、データ活用することで企業は顧客の属性や行動パターン、購買履歴などを把握し、ターゲット顧客の特定や顧客ニーズの把握を行うことができます。また、顧客の今後の購買行動を予測し、マーケティング戦略の改善につなげることもできます。
・新商品・サービスの開発
商品・サービスの開発には、顧客ニーズや市場のトレンドを正確に把握し開発することが重要です。そのためデータ活用は非常に有効な手段といえます。
また、商品・サービス開発で得られたデータを基にすることで、より良い商品・サービスの開発やリスクを最小限に抑えることができます。
・経営企画
企業の戦略立案や意思決定のために、様々なデータを収集・分析することが必要です。
例えば、企業の売上高や収益性の推移、市場シェアの推移などを分析することで、今後の事業戦略の方向性を決定することができます。
ビジネスにおけるデータ活用とデータ分析の違い
データ活用と意味が類似する用語に「データ分析」がありますが、違いとしてはその目的があります。
まず、データ分析は、データの内容を見極めることであり、自社に役立つ知見の抽出を目的としています。一方、データ活用は分析によって得られた知見を、具体的なビジネスに役立てること指します。
このような目的の違いからデータ分析は、データ活用における不可欠の作業であり、データ活用という取り組みの一部と位置付けることができるでしょう。
データ分析を行う際には、データ分析基盤が必要不可欠です。データ分析基盤の詳細は以下記事をご覧ください。
基礎知識から構築する際の流れ、ポイントを解説
ビジネスにおけるデータの種類
ビジネスにおけるデータ活用に使われるデータは、大きく外部データと社内データの2種類に分けられます。
外部データ
外部データは、企業外で入手できるデータのことです。代表的なものとして以下があります。
- オープンデータ:国や自治体などが公表している統計データ。一般向けに無償で公開されている。
- インターネット検索データ:インターネット検索により誰でも入手できるデータ。
- 調査データ:共同研究やアライアンス等より入手できるデータや、調査会社から購入できるデータ。
- IoTデータ:気象データ・交通データ・工場の設備のデータなど、IoT機器から取得できるデータ。
このほか、気象、位置、交通におけるデータなども分類されます。
社内データ
社内データは企業が保有するデータのことであり、代表的なものとして以下があります。
- 売上データ:売上高・変動率・商品単価・顧客単価など
- 顧客データ:顧客の属性や購入履歴など
- 広告データ:クリック率・アクセスログなど
- 業務データ:業務に要する時間や手順など
- 人事データ:社員数や人件費など
企業によく使用されるデータ例
ご紹介したようなデータをすべての企業が扱うわけではなく、使用する目的によって適切なものを抽出して活用しています。
たとえば売上向上が目的の場合、売上や顧客、広告データといった社内データが使用されます。そのほか、販売状況・SNS上の反応といった商品の動向や統計・相場・世論といった景気状況といったデータも用いられます。
ビジネスにおけるデータ活用のメリット
では、データ活用はビジネスにおいてどのようなメリットをもたらすのでしょうか。以降ではデータ活用のメリットを3つご紹介します。
メリット①:素早く確実な意思決定・経営判断
データ活用によって従来の経験や勘といった主観ではなく、信頼できる客観的なデータに基づいて確実な意思決定・経営判断が可能となります。
また、データにもとづいた議論を行えるため関係者間のコンセンサスを得やすく、調整などに時間を取られず意思決定のスピードが速くなる点もメリットです。
メリット②:コスト削減
データ活用を通じて業務や組織のムダを発見しやすくなります。
これにより効率的な企業経営ができるようになり、省人化を通じた人件費抑制といったコスト削減につながります。
メリット③:事業成長
データをもとに需要の変化や消費者の潜在的なニーズを的確につかむことで、市場が求める商品・サービスの開発に役立てることができます。
また、クライアントへの説得力ある企画提案や効果的な広告・宣伝にも活かすことができ、これらを通じて事業成長が期待できます。
ビジネスにおけるデータ活用の手順
一般的にデータ活用は、以下手順に沿って進めていきます。
・目的を決める
「効率化によるコスト削減」「新たなビジネスモデルの発見」など、実現したい目的・目標を明確にします。
・データを収集する
先ほど明確にした目的を実現するには、どのようなデータが必要なのか決め、データの収集を行います。
・データを加工する
データは収集しただけでは活用できないため、図表・グラフなどに加工します。また、不要なデータの削除や訂正、整理などデータを分析しやすい形に調整します。
・データを分析する
加工済みのデータを分析し、因果関係、相関関係や規則性などを読み取り、ビジネスに活用できる知見を探り出します。
・施策の策定と実行、効果検証を行う
得られた知見をもとに目的を達成するための施策を策定し、実行します。その後、効果検証を行い、目的の達成度合いを確認することも重要です。
以上のプロセスによるデータ活用は、最初から適切に行えるわけではありません。
繰り返していくことでデータ活用のコツを掴むことができ、より目的に適したデータの収集・加工・分析などを行えるようになります。
ビジネスにおけるデータ活用の課題
多くの企業がデータ活用を行っていますが、さまざまな課題があり、明確な効果を得られていないケースもあります。企業がデータ活用の際によくある悩みとしては以下5つがあります。
目的が明確になっていない
「業務の効率化やコストカットを実現したい」「DXを推進したい」「新しいビジネスモデルを構築したい」といった目的を明確にしていないと、どのデータをどのように分析すれば良いか方向性がわからず、効果的な施策を実行できません。
まずはデータ活用の目的を明確にし、社内(担当部署内)で共有することが重要です。
専任担当者がいない
データ活用を行うには、データの収集や加工、分析など専門的な知識やスキルを持つ人材を確保する必要があります。こうした人材が社内にいない、またはいたとしても他の業務と兼務しているために、十分なリソースを割くことができない課題もあります。
そのため、データ活用を担える人材を確保し専任させる体制を整えることが大切です。
データを集めて管理するノウハウがない
データ収集や管理のノウハウがないため、データのフォーマットが統一されていなかったり、収集したデータの品質がバラバラだったりするため、活用できないといった課題もあります。こうしたノウハウがないと、データの収集・管理にかかる工数やコストの増大にもつながりやすくなります。
データ分析する仕組みがない
データ活用を行うにはデータ処理システムや分析ソフトウェアなどのツールが必要です。しかし、これらを導入しておらず分析のための仕組みを確立していないために、適切な活用ができないケースもよくみられます。
データ活用ができるプラットフォームがありすぎてわからない
データを集め、加工し、可視化したうえで分析するためのデータ分析基盤をデータプラットフォームと呼びます。データプラットフォームはオンプレ型からクラウド型までさまざまなタイプがありますが、自社の目的や扱うデータに適切ものを選定できないケースがみられます。
ビジネスにおけるデータ活用の事例
ここでは総務省の調査をもとに、データ活用の事例を2つご紹介します。
ブランドバッグのシェアサービスを展開する企業では、データ活用を商材選択や経営の効率化につなげています。
具体的には顧客の利用履歴や、アプリ上に表示する画像の好き嫌いなどの回答データ、シェアする前後のバッグの写真といったデータを用い、バッグがどの程度使われて収益を生んでいるかをAIで分析しました。
この分析をもとに、貸出率が低い一方で、長く親しまれるバッグを優先的に仕入れることにしたところ、95%という非常に高いサービス継続率を実現できました。
不動産紹介サービスを展開する企業では、物件情報からユーザーの「真のニーズ」にマッチする可能性のある物件を探し出すことを目的に、ユーザーデータや物件評価データをAIに学習させました。これにより9割以上の接客をAIによる自動レコメンドにて行い、人件費を大幅に減らすことに成功しました。
さらに、利用者の属性・行動特性から成約に至る確率をAIで予測し、確率の高い利用者には人が対応することで人的リソースの有効活用を実現しています。
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